ぱっと気がついたら元いたカーテンで仕切られたベッドの上でした。気づいたらすんごく身体が重くてビックリ!よく見てみるとそれはそのはず、鼻から酸素を送るチューブ、片腕には痛み止めの点滴、鎖骨の周りにはバーッといくつもの吸盤のようなもの(心電図用のものとみられる)、指にも洗濯バサミのような心拍を計る装置、血栓予防のための装置が左腕と両足に。その他もろもろいろいろくっついていて動けない!!耳元ではいかにも病院って言う感じの「ピーッ、ピーッ、ピーッ」という音が鳴り響いていました。でも痛み止めのおかげか、痛みはなし。私の目覚めに気づいてくれたナースがやさしく声をかけてくれて今何時か聞いてみてビックリ!もう午後の1時半とのこと。手術開始が午前8時くらいだったからその間の時間そっくりそのまま記憶がないんですね。全身麻酔ってもちろん初めてだったのでこれが当たり前のことなんだけど、とっても不思議な感覚がしました。なにしろ、昼寝して目覚めたときよりももっと時間感覚がないというか、大きな眼鏡の先生に頬をなでられたのがほんの10分前くらいに感じたので摩訶不思議。 ナースが待合室で5時間近く待っていてくれた大輔を呼んできてくれました。(本当におつかれさまでした)手術を終えたF先生が一足先に大輔に結果を教えていたようで、自信満々に手術大成功です!とのことで一安心。あまりに大きすぎるのう腫だったので片方の卵巣、卵管は切除する可能性がありますがいいですか?のような書類にサインをしたところだったので心配だったのですが、そちらも無事救えたとのことでした。本当に一安心。卵巣は肝臓と同じように片側だけでも問題なく機能するらしいのですが、ひとつになるとホルモンバランスも崩れる恐れがあり、更年期障害が人よりも早めにくる恐れや万が一生き残っているもう片方に問題が出てきたら妊娠もできなくなってしまうらしいのでがんばってくれたF先生に感謝です。 しかし!ここがアメリカ。今さっきまで数時間にも及ぶ大手術をしたのにも関わらず、なんと日帰りなのです!!日本だと腹腔鏡下手術だと前日から入院、3、4日は入院するらしいですよね。これからしばらくはベッドに寝て数時間ほど術後の検査をするらしいけど、本当に今日中にうちに帰るの?!と信じられませんでした。まだありとあらゆるコードや管がくっついて身動きも取れないのにほんの数時間で病院の外へ解き放たれるなんて全く自信がありませんでした。 気づいたら手術をしてくれたF先生が私のもとへ様子を見に来てくれ、状況を説明してくれました。そして「やっぱり入ってたわよ」って見せてくれた写真には銀の器に入ったグロテスクな肉片と髪の毛と歯!写真も先生に送ってもらったんだけど友達が減ってしまうといけないので非公開。まさにモンスター。あんなのたちがわたしのおなかのなかにずーっといたんだ。いなくなってくれて良かった。 しばらく暇になるのでカーテン越しなのでいやでも聞こえてくる周囲を観察することにしました。ぎゃー!ぎゃー!とこの世の終わりのように泣き叫ぶ赤ちゃんの声。隣にはいかにも良い子な推定5歳児がいる様子。強がりつづけてたけど何かをされた瞬間、まるで恐怖のどん底に落とされたような悲鳴をあげるから手術終わったこっちまで恐ろしくなってしまったり。そのまた隣には命が危ないんじゃないか?と思うくらい苦しもがいている女の人。でもどうやらその人も今日退院させられる様子。すごい。病院って滅多に来ないけど凄いところですね。 写真は病院からもらったゼリー。最初はリンゴジュースとクラッカーを出してもらったんだけど、隣の人がゼリーをもらっていることに気づいてゼリーをリクエスト。さらにあまりにおいしかったのでおかわりもりクエスト。ゼリーは私の大好物なんだもん。 そんなこんなしている間に数時間が経過し、大丈夫そうなので帰宅許可が出ました。まだ立ち上がってもいなかったのに着替えと靴を返され呆然。練習のためトイレへ自力で行くことにしました。案外歩けないものですね。ナースに手を取ってもらい歩く姿はまるで入院中のおばあさん。本当に帰れるのかしら? つながれたコードや管類をとってもらい、車いすで病院の下まで連れて行ってもらい、タクシーに乗るはよかったのですが、タクシーの荒い運転にNYのボッコボコの道路。そこで初めて手術をしたことが実感できました。ものすごく痛い!!なにより次の揺れが怖い!!もうあんな経験2度としたくないと思うくらい痛怖かった。 家に着いたのが夜の8時。長い一日でした。でもつらかったのはここからでした。 病院から薬は市販の痛み止め(しかも効き目のマイルドなやつ)を飲めと伝えられ飲んだのですが、全く効き目がなく、何をするのも痛いし、痛いのが怖いので動けないし、もちろんおなかには1センチほど穴が3つ、3センチほどの穴が一つと計4つも開いているんだから痛いに決まっています。なによりトイレに行くのが一番大変で歩いて数メートル歩くだけで痛い、座るの痛い、用を足すと軽い膀胱炎になっていたのか激痛が走りました。ベッドに横になるにも一人では無理だし、寝返りなんてもってのほか。じっとしてても痛いんだからどうしたらいいものか。ベッドから起き上がってトイレに向かって用を足すという一連の作業が苦痛でしょうがなかったので最後はベッドに戻れず食卓に座りながら寝ていました。 様子がおかしいと感じた大輔が病院に電話してくれたところ、病院側のミスであるはずの処方箋がだされていなかったとのこと!あれだけ確認したのに!!それじゃあ相当痛いはずですよ!なんて謝罪をされました。もう夜の11時過ぎ。その後24時間営業の薬屋さんに処方された薬を走って取りに行ってくれた大輔が神のようでした。やっぱり薬の効き目が全然違いました。 そんなこんないろいろありましたが、その後。Day 1 ご飯をちょっと食べられるようになるDay 2 寝返り+げっぷができるようになる(汚い話ですが、これができないとガスっぽくって眠ることも出来なかった)Day 3 シャワーを浴びられるようになるDay 4 一人で立ち上がることが出来るようになるDay 5 いつも座っていたソファーに座れるようになるなどなど。日頃行っていた当たり前の行動ができるということがなんてありがたいことなのか毎日実感できました。芋虫みたいにしか動けなかったのが、また人間に戻ることが出来ました。今はすっかり元気です。たくさんの方々に心配をおかけしてしまいましたが、今回のことで学んだことがたくさんあります。なんの症状がなくても自分の身体を見つめ直して積極的に検査に行ったり、日頃から食生活に気を使ったり身体のメンテナンスをしっかりすることは大事なことだと思いました。体中が痛い時って当たり前ですが、人のことなんて考えていられないくらい余裕がなくなってしまいます。なのでいつも元気で人に優しく楽しく生きて行く上で健康はかかせないものですね。そして今回手術前にたくさんの友達や家族から応援の言葉をもらったり、手術後にたくさんの連絡をいただきました。その言葉が何よりの励みになりました。人は一人では生きていない、みんな助け合わないと生きて行けません。みなさんのやさしい言葉が本当にありがたかったです。おかげさまで手術から今日で丸1か月。おなかの傷も完全に塞がって多少まだ疲れやすいですが、いつものように元気にベース弾いています。健康第一!長々と入院日記かいてしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。また今度いいニュースお知らせできるようにがんばります。写真はお見舞いにうちまで数日間遊びにきてくれたアライグマのお母さん。NYにアライグマなんてビックリでしたが(しかもうちに?)先日大雨が降る夜、4匹の赤ちゃんアライグマたちと通り向こうに引っ越して行きました。